家蚕まゆ
長い間中国で秘密とされていた蚕種(カイコの卵)が、日本に初めて伝えられたのは二世紀頃と推定されています。
養蚕が急速に発展したのは明治時代以降で、生糸が代表的な輸出品でした。
現在は養蚕がだいぶ衰退してしまい、日常生活の中で繭を目にすることはなくなってしまいました。
ここでは忘れられてしまったまゆのことを知ってもらうために、まゆの形や色について少し詳しく紹介します。
品種とまゆの形
起源による分類
カイコの品種はその起源や性状などの違いから4つのグループに分けることが出来ます。
その4つとは日本種、中国種、欧州種、熱帯種です。これらはもともと異なった地域種ごとの特徴に基づいて名付けられたものですが、次第に他のグループとの間に混血が起こり、もしくは品種改良が行われ、純粋に系統が保たれているのは熱帯種を除いてほとんどありません。
取り扱いの便宜上、長形で胴にくびれのあるまゆ(俵形)を作る品種を日本種、楕円形のまゆを作る品種を中国種として扱う場合もあります。
ふ化の回数による分類
また、一年に何回孵化するかという分類によってカイコをグループに分けることが出来ます。今年生まれた卵が来年にならないと孵化しない品種を一化性と呼びます。今年生まれた卵がもう一度その年に孵化するのが二化性、生まれるたびに孵化してしまうのを多化性と呼びます。
これらをふまえてカイコを分類するとこのようになります。
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欧州種卵も幼虫も形が大きく、幼虫の発育経過は長い。まゆは俵形または長楕円形で、繭糸は繊度が太い。一化性です。 [写真提供/農業生物資源研究所] |
熱帯種幼虫の体系は細くて小さく、幼虫期間が短いものが多い。高温に対し耐性があり、まゆは紡錘形で繭綿が多い。多化性です。 [写真提供/農業生物資源研究所] |