糸を吐く性質やできあがったまゆで、観察や制作などが楽しめます。
まゆをつくりはじめたら
シルクうちわをつくってみよう!
まゆを作りはじめたら、その特性を利用してうちわを作ってもらいましょう。糸を吐く様子や動きもよくわかります。 |
シルクうちわの作り方
準備するもの
- 糸を吐くようになったカイコ 7頭
- うちわの骨
- どんぶりまたは植木鉢など
- ダンボール
- どんぶりまたは植木鉢の上に、うちわより2〜3cm小さく切ったダンボールを置き、その上にうちわの骨を置きます。
- 写真のように、うちわの骨の上をはって、糸を吐きつけていきます。(ふんやおしっこを完全に出したカイコをつかい、カイコが落ちてしまったらはやめに戻してあげましょう)
- この状態で丸1日、片面が糸におおわれます。おおわれたらうちわをうらがえしさらに丸1日おきます。
- 両面に糸が吐きつけられたら完成です。
まゆになったら
※火やお湯は熱いので気をつけてください。
シルクの糸とりをしてみよう
女工さん?研究者?そんな気分でシルクの糸取りをしてみよう。装置(糸巻器)は自分で作れます。ひとつのまゆから、どれだけの長さの糸がとれるかな。
準備するもの
- まゆ 2〜5個
- 糸巻機
- 鍋(写真ではビーカー)
- ブラシ(歯ブラシ)
まゆを煮ます
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糸を取ります
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糸を巻きます
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シルクの成分「セリシン」を体験してみよう
肌がつるつるする?すべすべになる?まゆを構成しているたんぱく質のひとつ、セリシン。
まゆから糸をとる工程で溶け出したセリシンは、素手で作業している女工さんたちの皮膚ケア機能を果たしていたともいわれています。さらに生のまゆからはセリシンが多く溶け出します。試してみましょう。
まゆを沸騰させるまゆを煮ます。沸騰させたら弱火で30分くらい煮ます。途中でかき混ぜてください。よく冷めたらさわってみよう。セリシンは感じられるかな。 |
カイコのまゆは「フィブロイン」と「セリシン」という2種類のたんぱく質からできています。フィブロインは絹糸になります。セリシンはまゆの形をつくる接着剤の働きをしているため、絹糸にする工程では必要なく、捨てられていました。
しかし近年、いろいろな研究の中で、セリシンが体に対して優れたはたらきがあることがわかり、注目を集めています。
セリシンの機能
古くから製糸や絹織物工場の従業者は冬の水仕事でも、手肌がきれいであった事実が知られています。これは溶け出したセリシンが素手で作業を行っている人達の皮膚ケア機能を果たしていたからです。
これまでに明らかにされているセリシンの生理機能を大別すると次のようになります。
医薬品分野 | 抗炎症作用、皮膚癌抑制作用、紫外線による皮膚障害の抑制作用 |
食品分野 | 便秘改善作用、ミネラル吸収促進作用、 大腸癌抑制作用、血糖値抑制作用 |
化粧品分野 | 抗酸化作用、保湿作用、美白作用 |
繊維加工分野 | 接触皮膚炎(アトピー性皮膚炎)抑制作用 |
細胞工学分野 | 動物細胞増殖促進・保護作用 |
「セリシンの生理機能の解明とその応用」